柔道整復師の給料は「一律に低い」とは言えません。厚生労働省のjob tagでは、全国の賃金(年収)は454.2万円、ハローワーク求人賃金は月27.8万円です。一方、柔道整復施術所の経営実態調査では、常勤柔道整復師の平均月例賃金は26万7,247円でした。調査対象や集計方法が違うため単純比較はできませんが、今の給料に不満がある場合は、月給だけでなく「年収」「実際の拘束時間」「社会保険・手当」「休日」「スポーツ活動を続けられる時間」の5条件で比べることが重要です。
「国家資格を取ったのに給料が上がらない」「仕事量や拘束時間に対して収入が見合わない」と感じるとき、平均年収だけを見ても、自分の転職判断には十分ではありません。
同じ月給でも、賞与の有無、固定残業代、社会保険、年間休日、実際の退勤時刻で生活の余裕は変わります。さらに、すでにスポーツ指導やトレーナー活動をしている人は、本業の勤務条件によって現場収入や活動継続そのものが左右されます。
柔道整復師の給料はいくら?公的データで確認
まず、最新の公的データを確認します。
| データ | 全国値 | 出典・注意点 |
|---|---|---|
| 賃金(年収) | 454.2万円 | 厚生労働省 job tag。令和7年賃金構造基本統計調査を加工 |
| 年齢 | 37.6歳 | 同上。年収を自分と比べるときは年齢・経験差にも注意 |
| ハローワーク求人賃金 | 月27.8万円 | 令和7年度。求人票上の月額で、年収と単純換算・比較はしない |
| 有効求人倍率 | 3.17 | 令和7年度のハローワーク統計 |
| 柔道整復施術所の常勤柔道整復師 平均月例賃金 | 26万7,247円 | 令和7年度柔道整復施術所経営実態調査の令和6年度実績。回答157件 |
柔道整復施術所の調査では、令和6年度の常勤柔道整復師の平均月例賃金は、個人施術所で24万3,842円、法人施術所で29万5,652円でした。
数字は「どちらが正しいか」ではなく、対象が違います。
job tagの年収、ハローワークの求人賃金、施術所調査の月例賃金は、調査対象・定義・賞与等の扱いが同じではありません。自分の給与と比べるときは、一つの平均だけで「低い」「高い」と決めないことが大切です。
出典:厚生労働省 job tag「柔道整復師」
出典:厚生労働省「令和7年度柔道整復施術所経営実態調査」
「給料が低い」と感じる理由は月給だけではない
1. 拘束時間まで含めると割に合わないと感じる
午前・午後の診療の間に長い休憩がある、準備や片付け、研修があるなど、給与明細の労働時間だけでは体感の負担を測れない場合があります。月給が同じでも、家を出てから帰るまでの時間が長ければ、使える時間は少なくなります。
2. 賞与・昇給の見通しが持ちにくい
初任給や月給だけでなく、1年後・3年後にどのような評価で昇給するか、賞与や役職手当があるかを確認しないと、将来の年収が見えません。
3. 社会保険や手当まで見ると差が出る
同じ額面でも、社会保険、交通費、住宅手当、退職金制度などによって実質的な生活基盤は変わります。収入の安定を重視する場合は、手取り額だけでなく保障も比較対象にします。
4. スポーツ現場に出る時間を失う
平日夜や土日にトレーナー・指導者活動をしている人は、退勤が遅い、土日勤務が多い職場へ移ると、現場活動の機会や収入を失うことがあります。給与アップだけを見て転職すると、結果的に自分が守りたかったキャリアを失うこともあります。
転職で給料を見るときの5条件
| 確認する条件 | 具体的に見ること |
|---|---|
| 1. 年収 | 基本給、固定残業代、賞与、資格・役職手当を含めた総額 |
| 2. 実際の拘束時間 | 始業前準備、休憩の取り方、終業後業務、平均残業、実際の退勤時刻 |
| 3. 社会保険・福利厚生 | 社保加入、交通費、住宅・家族手当、退職金等 |
| 4. 休日 | 年間休日、固定休かシフトか、土日休み、有給の取りやすさ |
| 5. スポーツ活動との両立 | 副業規定、平日夜の退勤、土日の試合、遠征・帯同時の調整 |
「月給が2万円上がる求人」でも、固定残業時間が増えたり、スポーツ現場に出られなくなったりすれば、自分にとって条件改善とは限りません。反対に、月給差が小さくても、賞与・社保・休日・退勤時刻が改善すれば、生活とキャリアの安定につながる場合があります。
柔道整復師が収入を見直す4つの選択肢
現在の職場で役割・給与条件を相談する
役職、担当業務、勤務日数などを見直せる場合は、転職せず改善できる可能性もあります。まず「何が変われば残れるか」を整理してから判断します。
柔道整復師の資格を活かして勤務先を変える
整骨院・接骨院だけでなく、整形外科などの医療機関や介護・福祉領域など、資格や経験を活かせる勤務先は複数あります。勤務先の種類より、実際の給与体系・勤務時間・休日を求人ごとに確認します。
職種を広げて安定収入を作る
収入や休日を最優先する場合、接客・営業・カスタマーサポートなど一般企業も含めて本業を検討する方法があります。柔道整復師として培ったヒアリング力や対人対応を、別職種で活かせるケースもあります。
安定した本業+スポーツ現場の収入に分ける
スポーツ活動を続けたい場合、スポーツ収入だけで生活を成立させようとせず、本業で生活基盤を作り、現場活動を別の収入・キャリアの柱として残す考え方もあります。
コチキャリでは「スポーツ現場に出られるか」だけでは求人を判断しません。
収入・社会保険・勤務条件など生活基盤を満たしたうえで、スポーツ現場を続けられるかを確認します。
スポーツ現場を続ける人は「総収入」と「使える時間」で考える
すでにトレーナーやコーチ活動をしている場合、本業の給与だけでなく、現場収入と活動時間まで含めて比較します。
- 本業で最低限必要な年収はいくらか
- スポーツ現場から得ている年間収入はいくらか
- 平日何時までに退勤できれば活動を続けられるか
- 土日の勤務は月何回まで許容できるか
- 合宿・大会帯同で必要な休暇日数はどの程度か
スポーツ現場を続けながら収入の柱を作る考え方は、スポーツトレーナーの収入が不安定になりやすい理由と安定収入の作り方でも解説しています。
転職前に「最低ライン」を決める
求人を見る前に、希望条件を「理想」と「最低ライン」に分けておくと判断しやすくなります。
- 最低年収・月収
- 社会保険の必須/不要
- 許容できる最終退勤時刻
- 年間休日または固定休の希望
- 土日勤務の許容回数
- 通勤時間の上限
- スポーツ現場の活動曜日・時間
- 転職希望時期
「給料を上げたい」だけでは企業に提案できる求人条件になりません。最低ラインまで具体化すると、現在の求人で実現可能かを判断しやすくなります。
求人を必ず紹介できるとは限りません。
条件に合う求人がない場合も含め、収入・時間・休日のどこがボトルネックになっているかを整理します。
よくある質問
平均年収454.2万円より低ければ転職した方がよいですか?
平均だけで判断するのはおすすめしません。年齢、経験、勤務先、賞与、雇用形態などが異なるためです。今の年収と拘束時間、福利厚生、今後の昇給見込みを合わせて判断します。
柔道整復師は転職すれば給料が上がりますか?
必ず上がるとは限りません。求人ごとに給与体系が違うため、月給だけでなく賞与、固定残業、手当、休日まで含めた条件比較が必要です。
給料を上げながらスポーツトレーナー活動も続けられますか?
勤務条件が合えば可能性があります。ただし、副業可否だけでなく、実際の退勤時刻、土日勤務、遠征・帯同への対応まで確認する必要があります。
今の職場を辞めるかまだ決めていません。それでも相談できますか?
はい。今すぐ転職すると決める前に、現在の条件と、次の職場で最低限変えたい条件を整理できます。

収入と働き方を5問で整理する